第21回 人生で大切なことは、すべて「書店」で買える。

緑川夕子(以下、緑川):千田さん、こんにちは。

本日は私個人としてもぜひ一度お聴きしたかった質問ですが、今年2月に出された『新版 人生で大切なことは、すべて「書店」で買える。』(以下、『人生書店』)についてです。新・旧版累計10万部突破されたとのことでおめでとうございます!

中井から聞きましたが、昨年末にこちらの新版の出版企画が決定してから1年間はほぼすべての出版依頼を断り続けていらっしゃったとか。


千田琢哉(以下、千田):そうだね、まるで喪に服していたかのように(笑)出版社の取締役から直々にメールが届いて会社の本気を感じたというのもあるし、俺の処女作を世に送り出してくれた会社だからね。あと誤解なきよう強調しておくけど、厳密にはまだ10万部突破じゃないんだよ。出版業界の9割が「公称部数」と言って、実質6万部や7万部の段階で「10万部」とかオビに掲載してさぞかし売れているようにインチキ商法で偽装するんだけど、俺はそういう嘘は絶対に許さない。タブーに挑戦する。そのために強くなったし、これからも強くなり続けたい。細かい数字はいちいち憶えていないけど、まだ9万数千部でウロチョロしていたんじゃなかったかな。こういうところで出版社の本気というか、勝ちにこだわる執念のなさがだだ漏れになっちゃうんだけど(笑)このインタビューを目にする人たちにも勝負に勝つ姿勢の反面教師としてもらいたい。あらゆる言い訳を凌駕すれば、数千部なんて刷ってしまえばおしまいなんだから、さっさと刷って、売るのはそれから考えるのが勝ち組の発想なんだけどね。でも、おかげさま。ありがとうね。

村上春樹さんが作品を発表してから半年間はその作品についてのインタビューを受けないで、翻訳の仕事なんかをされているという記事を読んだことがあるんだけど、「なるほど」と思ってね。半年あればその本と出逢うべく人たちにはほぼ出逢うから。語りやすいんだよね、きっと。俺の場合は話があってからカウントすれば半年だけど、書店に陳列されてから3ヶ月もあれば出逢うべく人にほぼ出逢ってもらえるかなと思って。それ以降は流れで売れるから。

というわけで今回こそが本音、本番のインタビューということで(笑)


緑川:出版を断り続けたら逆に収入がアップしたとお聞きしましたよ。我慢できなくなったファンの方たちが電子書籍真夜中の雑談千田琢哉レポートに殺到したとか。すでに昨年度までに千田琢哉レポートが紙書籍の発行部数を抜いたとか本当ですか?内容も激しさに拍車がかかっておりますし(笑)あとコロナ禍の影響で外出を控える世の風潮も手伝ってか、出版社の印税額も電子書籍が紙書籍と桁が並び始めたようで。電子書籍だと過去のコンテンツもまとめて入手できるからお客様も購入しやすいんでしょうか。真夜中の雑談も負けていられません。この調子で紙書籍の出版のペースを抑えてもらえると助かります!


千田:緑川さん、それは社外秘だから(笑)中井さんも俺が紙書籍を出すたびに「嬉しいけど、正直ちょっと複雑な気持ちがあります」って漏らしていたな。仕事しないほうが逆に収入が上がるって新しい発見だね。さ、ここは編集でカットしてもらうとして本題に入ろうか。


緑川:旧版の奥付は2011年となっていますので、約10年ぶりの改訂版ということになりますよね。


千田:そうなんだよ。現在俺の本の中で二番目に売れている本なんだけど、ロングセラーとしては一番かな。これは某著名コンサルタントも言ってたけど、あれこれ弱者の言い訳をしてすぐに絶版しちゃうヘタレ出版社が多い中で珍しい存在。送られてくるレターやメールを読んでいると、千田琢哉を最初に知ったのはこの本だった、という人が一番多い気がするな。


緑川:えー!?千田さん、実は私もそうなんですよ。プロローグと最終ページにやられました。実は私、小説以外の本をほとんど読まない人間なんですが、この本はなぜかスルーできなかったんです。正直に言いますと、どうしても気になったから手に取ってみたんです。そうしたら…


千田:衝撃的だった?


緑川:そうなんですよ。


千田:そういう感想が一番多かったから。


緑川:後に千田さんのデビュー作の保険業界の本を読んだ時にプロローグの一行目でノックアウトされたのと同じです。あの保険の本の冒頭は、やっぱり予め決めておられたんですか?冒頭の一行はどうするのかって…


千田:はい、決めておりました(笑)


緑川:やっぱり。それって村上春樹さんのデビュー作『風の歌を聴け』の冒頭と同じですね。冒頭の一行目を拡げて物語を創作したと何かで読んだことがあります。


千田:そうそう、俺が大学時代に『風の歌を聴け』を読んだ時、それは誰に教わるわけでもなく直観した。「あ、いい本というのはこうやって書くのか」って一方的に教わった。だからあの一行目は大学時代に決めていたんだよ。今でもスラスラ言えるからね。その後コンサル時代に京大卒の同い年だったメンバーに最初に原稿を見せたんだけどね、「面白い。これは絶対売れる。ただ保険業界向けに限定するのはもったいない」と冷静沈着にボソッと囁かれた。でも保険業界向けだろうが、経営の本だろうが、小説だろうが冒頭はもう決まっていたんだよ。

自分でも言っちゃうけど、保険業界で終わる人間じゃないということは俺自身が一番よくわかっていた(笑)最初は範囲をできるだけ絞って一点突破で突き抜けるだけでいい。この宇宙の歴史でたった一度でいい。たった一度突き抜けさえすればあとは流れに任せれば俺なら下限で100冊は100%出せる。作家として最低最悪の状況、たとえば今から勉強時間ゼロで成長が完全にストップしても俺なら出せる。どんなに厳し目にあらゆる角度から検証しても、出せない理由が見つからなかった。寿命さえもてば、100冊以内で抑えるのは不可能と言ってもよかった。それで第1作目が決まった時にプロローグの冒頭に準備万端のあのフレーズを持ってきたわけ。今だから正直に告白するけど、あの冒頭の一行を書くためだけに第1作目を書いたと言ってもいい。俺の使命だと思っているし。


緑川:『人生書店』の冒頭はいつ頃考えておられたんですか?



◆僕の出身校は、仙台の丸善と金港堂だ。◆

千田:プロローグのタイトルは大学時代に仙台一番町の金港堂にいた時に頭を過ったのをそのまんま。プロローグの冒頭はあの本を執筆開始した時だったと思う。


緑川:あのプロローグのタイトルは緻密に計算されておられると思いましたが、まさか大学生の頃に決められていたとは想定外でした。驚きです。あの、これ、言っちゃっていいのかしら…真夜中の雑談運営部で音声や編集担当者まで一緒になって夜通し徹底的に分析した結果なんですけど…どうしてこのプロローグのタイトルは私たちを立ち止まらせここまで惹きつけるのか。

舞台が「杜の都」仙台で、しかも東北大学出身だからこそ映えるタイトルですよね、あれは。他の大学では映えません。あの本のあのシーン、あの個所では正解は一つですよね。もし札幌の書店だったら北海道大学、博多の書店だったら九州大学しかあのように書く資格は与えられない。みんなで千田さんを思想模写してみました。

伊坂幸太郎さんの小説で『砂漠』という作品がありましたが、あれも舞台が東北大学を彷彿させるからこそ味わい深いし面白いんですよね。あの物語に登場する超絶美人も超能力少女もキモオタ君もチャラ男君も、あとイカトンの主人公も、みんな東北大学の入試を突破していて、その上であのキャラだから許されるし引き立つんですよね。

村上春樹さんもインタビューやエッセイで「僕は学校というものに合わなかった」「これまで僕はエリートになったことがない」というようなことをおっしゃっていましたが、あのような表現は早稲田大学を出ているからこそ、その発言の資格が天から与えられ、味があると思いました。MARCHじゃダメです。とても惹かれます。


千田:こんなに簡単に言い当てられてしまっていいのだろうか。いくらなんでも簡単過ぎる。


緑川それ、ハルキ流の表現ですね(笑)


千田プロローグのタイトルの真意は棺桶まで秘密の予定だったんだけど、緑川さん、やるなー。これまで三桁の取材・インタビューを受けてきて、朝日新聞と集英社のインタビュアーだけがプロの仕事をしてくれたと思ってたのに、緑川さんもそれに並んできたね。実はそれ、今後真夜中の雑談の臨時増刊号【出版編ver.3】の予定があれば披露しようと思っていたネタだったんだけど。会員限定で(笑)的中されたらもう仕方がない。じゃ、俺も出血大サービスで話しちゃおうかな。

最近、読者からのファンレターやメール、真夜中の雑談に届く質問者のレベルがさらに上がってきて、本を出したりテレビに出演していたような医師、弁護士、会計士、官僚、大学の先生もいらっしゃって、もはや美辞麗句や建前で許されるレベルじゃなくなってきた。オリンピックのメダリストも何人かいたね。何年か前に村上春樹さんのエッセイでご自身が芥川賞作家じゃないことについて述べておられたんだけど、小説家は群像新人文学賞の「入場券」さえあればあとは実力で道を切り拓いていける、といった内容だったと思う。要は最低限の入場券さえあれば暴れ放題。少なくとも俺はそう解釈したんだけど、まさにそれと同じかな。小説の世界では新人賞だけど、ビジネス書の世界では「学歴」と「実績」が入場券。学歴は遺伝をベースにした努力、実績はコネをベースにした努力。実績だけはあるけど学歴がなければ読者は認めない。プロの世界だからそんなのは当たり前。実績なんて土俵選びさえ間違わなければ簡単に出せるから。それらの下限さえクリアしておけば実力を存分に発揮して命を燃やし尽くせばいい。クリアしていなければご臨終、という清々しくシンプルでわかりやすい世界。

早慶旧帝大以上の学歴があればその気になったら人類すべてを対象に本を書ける。厳密には東大は“プライドの高い落ちこぼれ”から嫉妬されてしまうこともあっていくつかの嫉妬対策が必要になるけど、早慶辺りが一番ピンからキリまで巻き込みやすいね。東大にも「お、早慶の割になかなか良いこと書いてんじゃん」と上から目線で評価してもらえるし、反対におバカには自分たちにも努力すれば手が届きそうだと勘違いさせて夢を持たせられるから。

あとこれは有料級の情報というか、知恵なんだけど、俺が47都道府県に滞在したり長期出張で膨大な数の人たちと対話してきて確信したのは、北大や九大などの地方旧帝大は想像以上に強かった。みんな「旧帝大」という言葉は知らないふりをしているけど、アルコールが入ると実はよく知っているし地元の旧帝大には高い誇りを持っていることが判明した。遺伝的・知能的に一族が入れなかったから知らないふりをして自己防衛していただけなんだよ。

日本人の人口比率で言えば東京圏の約3千万人は早慶贔屓、それ以外の約9千万人は北大・九大などの旧帝大贔屓。もちろん東京圏にも東北大贔屓のお年寄りがいらっしゃったり、地方にも早稲田好きなおじいちゃん、慶應ボーイ好きなおばあちゃんもいらっしゃるけど、全体としては相殺されるね。地方旧帝大生は理系は研究者、文系は公務員になる人が多いけど、みんな既成のエリートコースに疲れたらこっちにおいでーって思うよ。寝た子を起こして競争が激しくなるかもしれないけど、もう俺は十分に稼がせてもらったから(笑)

一橋大と東工大については筆記試験による一般入試で大学受験を経験した一族はそれらの価値や偉大さを熟知していた。川崎医大・埼玉医大・独協医大辺りを出た医者は一橋大学や東京工業大学出身の患者を診察する際に拝跪すべきだと(笑)北海道で酪農を営む方々や有明海の漁師の方々の中には、両校を専門学校やFラン私立と本気で思っていらっしゃる人も一部いたけど。

こういう誰も口にしない、あるいは知らないふりをして真実を知っているかどうか、この差は大きいよ。それより下の駅弁MARCH関関同立だと上位層はバカにして買わないし読まないから、「営業系」「スピ系」「おバカ系」で攻めるしかない。でも国民の下半分はその種の話が好きだから下流の成功者としてお金持ちにはなれる。

以上はコンサル時代から今日に至るまで『ゴルゴ13』に倣って千田チーム“潜伏マーケティング調査”で完璧に結論が出てる。お金はあっても地位と学はない下流の成功も成功は成功だから、身の丈に合っていて美しい。

あと実績にはいろいろあるけど、要は業界内で「一瞬有名だった人」以上の痕跡を遺せば少なくともその業界関連の本なら楽々出せるでしょ?これはお笑いの世界も同じで、まずは一発でいいから突破口を開かないとその土俵のスタートラインにすら立てない。じゃなきゃ生ゴミ未満の価値しかない。単なるウンコ製造機だから富士の樹海で視界に入らないように生きてもらいたい。何かで成功しようと思うなら、この事実を受容してその分野の入場券を獲得できる遺伝子があるか否か、ここが一番大事なのね。

官僚の世界だと北海道大学以上の大学から滑り込んでおけば、あとは自分次第なのと同じだよ。誰も明文化して教えてくれないこういう目利きが人生では重要。どんな世界でも入場券がある人とない人では人生がまるで変わる。手足の短いボンレスハムみたいな女が人生をかけてスーパーモデルを目指しても笑い者になって搾取されるだけ。甘い言葉にホイホイ騙されて生きていると一生を棒に振るから。これ、身内の実話だから力説しておくけど(笑)

こういう話はわかる人には当たり前すぎてあくびが出るほど退屈だけど、わからない人はあの世に逝ってもわからないし、納得できる知力・精神力もないけどね。



◆世の中には出すべき本というのがある。◆

緑川:数年前の私には到底理解できなかったでしょうが、今の私には完璧に理解できます。千田さんのおっしゃっていることって、全部世の中の真実ですから。結局今のような事実を受容できるかどうかが人生を決めますよね。うん、確実にそうです。それが本当の勇気なのかもしれません。

千田さんに真夜中の雑談の収録前の本当の雑談でスタッフ一同教わった、サルトルさんとメルロ=ポンティさんの違いを思い出します。醜い自分を変えようとひたすら劣等感をバネに世間と戦いながら生きたサルトルさんと、どんなに醜くても自分の肉体を正面から受容して感謝し、最大限に活かすべきだと主張したメルロ=ポンティさん、でしたよね。その点に関しては私はメルロ=ポンティさんを支持します。

ところで『人生書店』を執筆開始されたのは出版されるどのくらい前からなのでしょう?


千田:それもいい質問だね。あの本を書いたのはあの本が出るずっと前だよ。1年前なのか、2年前なのか、それは正確には憶えていないんだけど。


緑川:…ということはあの本は出版社からの企画ではなくて千田さんが勝手に執筆したものだったんですか?


千田:そうなんだよ。いろんな出版社に送ってボツにされ続けた原稿。


緑川:何か凄いこと聴いちゃいました。あの本をボツにされるということは、見る目のない出版社多過ぎです(笑)


千田:今思い出したんだけど、中には社長自らが出てきて「こういう本は絶対に売れない」とロジカルに説明してくれた出版社もあったよ。学歴詐称と顔面詐称で干された高卒の自称経営コンサルタントと、過労自殺で悪名高い某居酒屋チェーンの創業者の本を出していたミクロな会社だったかな。


緑川:そういう話って、よく作家さんが本に書いたりインタビューで答えたりしていますが、やっぱり本当だったんですね。生でそんな話が聴けて光栄です。


千田:あ、それは俺も数え切れないほど見たり聞いたりしたことがあるよ。だからボツにされても「お、これが噂のあれか…」って、むしろ嬉しかったもんね。

現実には時の流れ、というか運もあって、その数ヶ月前に出した本がその後22万部を突破したんだけど、売れ行きが好調だったから後押しされたという理由もあるだろうね。有機的に繋がっているよ。


緑川:その22万部の本は出版社からの依頼だったんですか?


千田:いや、俺がゼロから勝手に書き上げた原稿だよ。確か編集者が転職したお祝いに即興で書き上げてメールした記憶がある。そもそも当時の俺は無名だから出版依頼とは縁がなかったし。


緑川:…ということは千田本史上20万部を超えた1位と10万部突破した2位は、いずれも千田さんが注文もないのにゼロから書き上げた原稿から生まれたっていうことでしょうか?


千田:そう言うと、何か俺が偉業を成し遂げたみたいだけど、本の著者にはそういう人が比較的多いと思うよ。さっきも言ったけど、その時点で有名人でもない限り出版社から本を書いてくれって依頼されるなんてことはあり得ないでしょ?もしそんな出版社があればかなりの確率で詐欺だから。


緑川:確かにそうなのかもしれませんが、やはり千田さんの企画力は当時から健在だったのですね。


千田正直に言っちゃうと、売れるか売れないかは別として、『人生書店』はいずれ必ず世に出す本だったんだよ。自費出版でも何でもいいから、あれを世に出さずにはいられなかった。そのために起業してさっさと売却して、キャッシュで10億貯めて、思う存分執筆活動に専念しようと思っていたからね。2億は生活費、8億は自費出版のお金と大雑把に決めていたよ。レオパレスで自費出版作家として一生を終える覚悟もできていた。これ、本当。

ラッキーなことに俺には“職業作家になる手段としての起業”は必要がなかった。処女作を出すための手段としての就職、会社勤めの経験は有効だったけどね。これも大学時代に読んだニーチェのエピソードだけど、彼は『ツァラトゥストラ』の第4部を自腹で40部刷って、友人や知人に献本して、それでもまだ余ったと言われているんだよ。マルクスの『資本論』も初版1000部で売り切るのに4年かかっているからね。大原則としてお金儲けのために作家になる人間なんていないよ。効率が悪過ぎるもの。古今東西問わず本は名誉や自分の使命のために出すもの。それが本音。頭の良い人間はお金儲けよりも名誉や使命のほうが1兆倍大切なんだよ。日本はまだ出版のハードルが低いけど、海外では出版のハードルが高いこともあって、それをたとえば日本に置き換えると年商100億の中小企業を創業するよりも著作数100を超える作家のほうが遥かに格上。前者は会社が消えて数年で歴史から消える。でも後者は著者が死んでから何十年も、何百年も、場合によっては千年以上も歴史に遺る。

結果として予想外に売れて世界レベルの大富豪の下限グループに食い込む人ならいるけどね。1世紀に一人か二人くらい。20世紀だとアガサ・クリスティ、ここ20年だとJ.K.ローリングかな。


緑川:歴史に遺る名著がガツン!と売れるベストセラーとなるとは限らないのは、芸術の世界と同じかもしれませんね。ゴッホやモディリアーニも生前は貧乏だったみたいですし…


千田:そうだよね。中にはピカソや岡本太郎みたいな例外もいるけれど、基本的に歴史を変えて、歴史に名を刻む天才たちは生前より没後に認められることのほうが圧倒的に多いよね。

生前かなり売れていた人でも、死後さらに桁違いに売れるとか。


緑川:ここだけの話、千田さんご自身は『人生書店』は売れるとは思っていましたか?


千田:本当にここだけの話だけど、思ってた(笑)どうしてそれがわかるかというと、俺、本たくさん買ってたくさん読んでいたからね。俺の本が売れるかどうか以前に、売れる本と売れない本の目利きはできるわけよ。自腹切っているから。何でも経費で落としまくっている出版社のサラリーマンとは訳が違う。


緑川:そうでしたね。大学時代に1000万円を本代に費やしたんでしたよね。それは仮に著者になれなくても本の目利きや書評家になれそうですね。


◆本物の作家は、同時にまた優れた批評家でもある。◆

千田:緑川さんも知っていると思うけど、これまでに俺は4冊の書評本を出してきて、100冊の本を紹介しているからね。


緑川千田さんの書評本が魅力的なのは、こう言っては本の著者の方々に失礼かもしれませんが、推薦されている本よりも千田さんの書評のほうが面白いと思えちゃうところです。


千田:それは最高の褒め言葉だね。映画の世界だと淀川長治さんみたいで、映画よりも淀川さんの解説のほうが面白いと思われるのがプロの評論家だから。2秒のシーンを何分もかけて一生懸命説明してくれるんだけど、映画を観てみると何の変哲もないシーンでね。でも評論家として底知れぬ映画愛を感じるんだよ。


緑川:千田さんの場合、ご自身が著者でありながら、評論もできるというのが凄いですが。


千田これは芸術家の岡本太郎さんが言っていたらしいんだけど、本当の作家(芸術家)というのは、必ずまた批評家でもあるんだよね。創造から分析が生まれることもあれば、分析から創造が生まれることもあるんだよ。ベルクソンは直観から分析への道は開けていても、分析から直観へ達する方法はないと主張していたけどね。その点においてはベルクソンは間違いだったんじゃないかな。


緑川:分析も創造なんですね。


千田:与えられた制約を分析して新商品を開発したり、建築物を創ったり、オリンピック用のモニュメントを創ったりすることからもそれは明らかだよね。

だから我が子の個性を育ませたい場合には、自由でのびのびした環境よりも適度に管理された環境のほうが良い影響を与えると言われている。塩梅が大事。



◆「積善余慶」は科学的にも正しい◆

緑川:確かにそれはその通りかもしれません。

『人生書店』は書評本ではありませんが、それでも千田さんの推薦本が21冊も掲載されていて、その推薦文すべてが面白いです。私、21冊すべて購入しましたから。千田さん、褒めるのが本当にお上手ですよね。千田さんに褒められると、嘘だとわかっていても本当に嬉しいんですよね。それも一生心に残って、何度も反芻して味わえます。『新版・人生書店』には「僕は嘘つきです」と書いてありましたけど(笑)


千田:そうだったかな(笑)いずれにせよ『人生書店』は読書デビューを果たした大学生の頃からのエッセイみたいなものかもね。本を読みたくても読めない人、あるいは無類の読書好きの人でも共感する人はすると思う。これは俺が読者の立場になれるからわかるんだけど、文章そのものや内容じゃなくてすべての本にはその本に込められた魂があって、それに共鳴した人が近づき、そして手にし、読むんだよね。これはパーティー会場で端と端にいても引き寄せ合ったり、場合によっては地球の裏側にいても引き寄せ合ったりするようなもの。リアル書店では人が本を選ぶんじゃなくて、本が人を選んでいるんだよ。そうでなければジュンク堂みたいな何十万や何百万という本が並んでいる中で、コレという1冊に出逢えるはずがないから。


緑川:とってもロマンチックですね。でも私もそう思います。読者を虜にする作家の本は独特の魅力があります。表現は適切ではないかもしれませんが、薬の常習のような…


千田:緑川さん、それは素晴らしい表現だよ。海外の文豪が同じことを言っていて、作家としてやっていくためには読者をドラッグの常習者のようにすることだと述べている人もいたよ。これは本だけじゃなくてすべての商品がそうだけど。俺自身が会社勤めをやっていた間もこの教えをベースに据えて、リピートと紹介を発生させ続けていたからね。俺の売っているサービスの中毒にさせるのが仕事だと思っていたし。


緑川:私はすべての千田本の中で『人生書店』が一番好きなのですが、まさに私を常習者の一人にしてくださいました(笑)何とも表現しようのない、千田さん独特の世界観に包み込まれ、病みつきになります。こういう世界観を創り出して病みつきにさせるのが本当のプロなのでしょうね。


千田:それはあるかも。会社勤めの頃から俺は会社の看板とは別に独自の世界を創って、それを「千田ワールド」と呼ばれていたのを今思い出したよ。よく憶えてはいないけど学生時代もその雰囲気は醸し出していたかも。


緑川:千田さんは超リアリストなので宗教家とは対極ですが、超リアリスト教の教祖かもしれませんし、それと同時に無意識に超自然現象を引き起こしそうな雰囲気が出ています。ご自身ではそれに気づいていらっしゃらないし、この先も無意識にそれをフェロモンのように散布されるのではないかと思います。


千田:よく占い関係や霊能者関係の人たちから、「あなた、見えていますね」「あなたはこっち側の人間ですよ」みたいなことを人・場所・時を超えて言われてきたけど、この際ハッキリ言っておくと、俺には霊感みたいなのは一切ないからね。これまで一度も霊を見たこともないし、これからもきっと見ないと思う。


緑川:…でも、先祖のどなたかが千田さんを全力で守ってくださっている、と言われたことはありませんか?


千田:ある!今の緑川さんの目つきと表情、そういうことを教えてくれた人にそっくりだった。


緑川:千田さんが強運なのは先祖の運の貯金のおかげもあると思います。さらに千田さんがその運を健やかに育てておりますので、千田本が幸運の本になっているんですよ。


千田「積善の家には必ず余慶あり」だね。俺もあの教えは科学的に正しいと思うけどね。俺の祖父母や両親が運の貯金をしてくれていたのは1次情報として知っているし、それが巡り巡って俺のところにも訪れているのが肌感覚でわかるよ。実際には運というのはほとんど人が運んでくるから、積善の家には本当に直接的にも間接的にも人が運を運んでくるんだよ。それにそういう幸運な表情や人相は遺伝的要素や環境的要素の組み合わせで一族で似てくるから、ますます応援されやすくなるんだよな。


緑川:そうなんですよ。本当にその通りなんですよ。幸運な人ってもう最初から決まっていて、太陽のような顔をされていて、そこに人とお金が寄ってくるんです。あ、これも他の千田本の受け売りです(笑)いずれにせよ『人生書店』は私にとって人生を一変させるきっかけとなる幸運の塊だったのは間違いありません。本当にこのような奇跡の本を世に出してくださって、ありがとうございます。



この世に本がなかったら、僕はとっくに死んでいた。




◆合わせて読みたい千田本



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◆千田琢哉(せんだ・たくや) プロフィール

愛知県生まれ。岐阜県各務原市育ち。文筆家。
東北大学教育学部教育学科卒。
日系損害保険会社本部、大手経営コンサルティング会社勤務を経て独立。
コンサルティング会社では多くの業種業界におけるプロジェクトリーダーとして戦略策定からその実行支援に至るまで陣頭指揮を執る。
のべ3,300人のエグゼクティブと10,000人を超えるビジネスパーソンたちとの対話によって得た事実とそこで培った知恵を活かし、“タブーへの挑戦で、次代を創る”を自らのミッションとして執筆活動を行っている。
現在までの著書累計は340万部を超える(2021年11月現在)。


◆緑川夕子(みどりかわ・ゆうこ)  プロフィール

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