第20回 なぜエリートやお金持ちはテーマパークが嫌いなのですか?

緑川夕子(以下、緑川):世の中にはテーマパークがたくさんあります。多くの人はテーマパークが好きですが、中には嫌いな人もいます。これまで複数の人たちから届いた質問の中に「なぜエリートやお金持ちはテーマパークが嫌いなのですか?」というのがございましたので、ぜひ千田さん“ならでは”の回答をいただきたいと思います。あ、念のためそのうち2人が真夜中の雑談千田琢哉レポートのヘビーユーザーのお医者様からでした。


千田琢哉(以下、千田):強者は自由や平等が大嫌いなんだよ。


緑川:こ、これはまたいつになくストレートにお答えいただきました。


◆平等で得をするのは下側の人間だけ。上側の人間にとって平等は損◆

千田弱者にとっては自由も平等も欲しくて仕方がないことかもしれないけど、強者にとっては自由も平等も迷惑極まりないんだよね。平等ってことは弱者はピラミッドの底辺から真ん中まで上がれるけど、強者はピラミッドの頂点から真ん中まで引きずりおろされるってこと。テストで30点の落ちこぼれは自動的に平均点の60点まで上げてもらえるけれど、100点満点の優等生は平均点の60点まで下げられちゃうの。これ、弱者にとってはありがたい制度だけど強者にとってはシャレにならないくらい割に合わないでしょ?

三島由紀夫が言ってたよ。実は一番辛いのは努力することそのことにあるのではなくて、ある能力を持った人間が、その能力を使わないように制限されることに人間としての一番不自然な苦しさや辛さがあるんだってね。

そもそもテーマパークなんかに現実逃避しなくても、強者は日常でリアルに自由を満喫できるんだから。


緑川:確かにその通りですね。一般にテーマパークというのは夢の国を謳っていることが多いですが、現実社会では虐げられている弱者のカタルシスの役割を果たしているのかもしれません。


千田:その通り。リア充は夢の国なんて不要だけど、非リア充にとっては夢の国こそが人生の目的、唯一の楽しみだから。束の間の強者の疑似体験をしているんだよ。

テーマパークに行った強者が強烈な違和感を持つのは、「どうして弱者と一緒に行列に並ばなきゃいけないの?」ってこと。もちろんこんな本音は誰も口にしないけどね。

東大卒も中卒も同じ行列、年収1億円もキモヲタニートも同じ行列でしょ?これって、中卒やキモヲタニートにとっては快感かもしれないけど、東大卒や年収1億円にとっては不快以外何ものでもない。美人とブスが同列になるのだって美人は耐えられないよ。絶対に誰も口にしないけど、持てる者たちは持たざる者たちを同じ人間だなんて思ってないから。Mっ気の強い人は別だけど(笑)

あとポップコーンを買うのに1時間とか行列待ちとかあり得ないね。どうして時給千円かそこらの弱者のスタッフ如きの仕事の都合で強者が奴隷のように並べられなきゃいけないの。こういうのは自分が強者にならないと絶対にわからない。スタッフも弱者だから弱者同士で戯れるのは別に何も疑問に思わないだろうけど。


緑川:とってもわかりやすいです。千田さんみたいな人にとっては、日常こそがテーマパークそのものですよね。わざわざお金と時間を犠牲にしてまで偽物の自由なんて要らないというのは理解できます。


千田:テーマパークで狂ったようにはしゃいでいる連中っているじゃない。催し物の最前列でイッちゃってる人たち。ああいうのって絶対にリア充じゃないよね。


緑川:確かにそれはないですね(笑)絶対に彼氏いなさそうな女の子とか、永遠に彼女できなさそうな男性とか目立ちますね。


千田:それだけ非リア充という証拠でしょ。弱者にとってはテーマパークこそが束の間の生き甲斐なんだよ。


緑川:なるほど。私も昔はテーマパークが年に一度の楽しみでしたが、言葉にはできない違和感がありました。それが今、千田さんのおかげでスッキリしました。

実はもう何年もご無沙汰なんですよね、テーマパーク。


千田:それは緑川さんの人生がリア充になってきたからだよ(笑)素晴らしいと思うよ。


緑川:確かにそれはそうかもしれません。現実の世界が幸せになればなるほどにテーマパークのことなんてすっかり忘れていましたね。これは本当にそうです。


◆弱者だってもし強者に生まれ変われば、弱者を確実に見下す。それも狂ったように、ね◆

千田:ところで自由と平等っていうのは、もともと自然の摂理に反しているって気づいていた?


緑川:え!?自由と平等が自然の摂理に反しているんですか?それは知りませんでした。


千田:だって自然界を見てごらん。ありのままの現実を直視すれば純度100%の確率で弱肉強食じゃない?


緑川:強者が上で弱者が下ですね。


千田:ところが人間社会はどう?弱者のほうがつけ上がっていない?


緑川:確かに。セーフティーネットも整備されていますし、群れて騒いでいると何とかなると思っている弱者もいますね。特に海外ではその傾向が強いように思います。


千田:つまり人間社会は自然界の摂理に反しているというわけ。


緑川:それはどうしてそうなっちゃったんでしょうか?


千田:以前から繰り返しお伝えしてきたように、きっかけはイエス・キリストなんだよ。


緑川:あのキリストさんですか?


千田:キリストが磔(はりつけ)になったのは知っているでしょ?


緑川:はい。以前も教えていただきましたが、槍で突き刺されて殺されちゃったんですよね。


千田:そう、まさしくその瞬間に時代は変わったんだよ。


緑川:具体的にどのように変わったのでしょうか?


千田:キリストが出現するまではユダヤ人は奴隷で逃亡生活を強いられていた。ようやく自分たちの国家を持てたと思ったら、また滅亡して奴隷生活が続いた。もうそこまで虐げられ続けると、「自分たちは特別な存在だから試練を与えられているのだ」ってお互いに慰め合わないと生きていけなかったんだよ。それでも耐え続けなきゃいけない惨めな人生に限界がきたユダヤ人たちは、心の底で『北斗の拳』のケンシロウのような圧倒的強者の救世主を強く求め続けていたのに、これがまたキリストは正論を貫き通す筋金入りの“いい人”だった。知っている人だったらわかると思うんだけど、「ひびゃ!!」という遺言を残してラオウに抹殺されたガンジーがモデルの無抵抗村長さんみたいな。より正確には喧嘩の弱いトキみたいな人(笑)あ、念のためケンシロウの義兄のトキはキリストがモデルなんだけどね。

ちなみにキリストというのは「救世主」という意味だからね。


緑川:「右の頬を打たれたら左の頬を差し出しなさい」でしたっけ?


千田:そうそう。あと「汝の敵を愛せよ」とかね。それまで散々神を信じ続けて裏切られてきたユダヤ人たちは酷く落胆したんだよ。「こいつではアカン」と。次々とモヒカンのチンピラたちを指先一つでダウンさせてくれないような救世主は不要だって(笑)

待ち望んだカリスマが残念だった場合、どうなる?


緑川:期待を裏切られた反動で、強い殺意を抱くかもしれません。恋愛みたいに。


千田:だから彼は磔(はりつけ)にされて槍で突き刺されて殺されちゃったんだよ。


緑川:そういうことだったんですか。


千田:でもその瞬間、キリストの弟子たちの中には魂を激しく揺さぶられた人もいたんだよ。「こんなに“いい人”がこんな目に遭ってはいけない!こんな目に遭っていいはずがない」ってね。これ、実は紀元前のソクラテスが毒杯を飲んだシーンにも似ている。ソクラテスが毒杯を飲み干した瞬間も、それを目の当たりにした弟子たちが心を動かされた。それまでのナァナァの相対主義から真理の追究へと時代がシフトした。結局、歴史というのはカリスマの死に様によって一変することもあるということだね。キリストの死によって弱者が善とされるようになった。正確にはキリストの死に便乗して弱者のルサンチマン(≒弱者の強者に対する嫉妬、復讐心)を煽りながら暴利を貪ってやろうという人間が出現したんだよ。新約聖書の著者の一人でもあったパウロのようにね。自然の摂理である弱肉強食に反する価値観のパラダイムシフトが起こったというわけ。


緑川:それからずっと今日まで弱者が善とされる思想が世界中に蔓延しているということなのでしょうか。


千田:そうなんだよ。弱者たちは巧みに弱者礼賛である「道徳」を前面に出して数の暴力で強者を封じ込めようとした。今も恐るべきその思想は地球上の隅々まで根強く跋扈しているでしょ?

タクシー運転手が総理大臣の悪口を言っても許されるけどその逆は許されない。Fラン卒が「東大卒なんて勉強しかできないバカ」と言っても許されるけど、東大卒が「Fラン卒は勉強すらできないバカ」と言ったら顰蹙を買う。手足の短いブスがスーパーモデルのことを「女のくせにデカくてキモい」と言っても許されるけど、スーパーモデルが手足の短いブスのことを「よくそんな醜い容姿でのうのうと生きていられるな」と言ったら炎上必至。

これらは全部キリスト教の名残なんだよ。みんな無意識だろうけどさ。



緑川:すっかり洗脳されて麻痺していますが、テーマパークが流行っているのはキリストの影響なのでしょうか。


千田正確にはキリストとキリスト教は違うけどね。キリスト教はキリストの死後、弟子や信者が勝手に作った教えで、途中で権力争いなんかも入ってグチャグチャになっている。

まあそんなことを言ったら孔子の『論語』だって孔子が書いたわけじゃなくて、孔子の弟子たちがまとめたものだけど。

でもそんなキリスト教に異を唱えたニーチェみたいな人もいたんだよ。


緑川:あ、ニーチェもこれまでに散々教わりました。あの有名な哲学者ですよね。


千田:うん。19世紀に活躍した人で天才と言ってもいいと思う。確か24歳かそこらで大学教授になっているよ。

客員教授でも准教授でもない本物の教授。教員の資格も博士号もなかったのに優秀過ぎて学部卒で抜擢された。


緑川:それでそのニーチェという天才がどのように異を唱えたのでしょうか?


千田:「神は死んだ」って。


緑川:あ、それなら私も聞いたことがあります。そのセリフ、ニーチェが言ったんですね。どんな意味なんですか?


千田:まあ、超訳すると「おい、弱者ども、甘ったれるのもいい加減にしろ!」ってことだね。


緑川:超訳しないとどうなりますか(笑)



◆すべての宗教は偽物。教祖はそれを知っており、末端の信者だけが妄信している◆

千田神というのは弱者の幻想なんだよ。弱者が自分たちを正当化するために「弱いことが善」という自然の摂理に反する教えを信じ込もうとしていた。横隔膜をヒクヒクさせながらね(笑)さらにそれを悪用して教団幹部は弱者をコントロールして甘い汁を吸う仕組みだね。

ここでとても大事なことを言っちゃうと、弱者は生きている間はずっと辛くて貧しいんだよ。死んで天国に行ったら初めて幸せになれると完璧に洗脳されている。生きている間に贅沢三昧できるのは教団の幹部連中だけ。誰も死後の世界があることを確認した人はいないんだよね。

宗教ビジネスが面白いのは、その宗教を健気に信じているのは無知蒙昧な末端の信者のみだということ。弱者から財産を没収して美味しい思いをしている幹部連中は、死後の世界なんてないことも、未来より現在が大切なことも熟知している。

ニーチェはそれを洞察し、決して許さなかったということ。


緑川:凄い!さすが天才ですね。弱者礼賛のズルさ、醜さを見逃さなかった、と。


千田宗教が1000年以上跋扈したこの時代を中世と呼ぶんだけど、古代よりも文明は退化したと言われているよ。

漫画『テルマエ・ロマエ』にもあるように、古代ローマにはすでに公衆浴場や下水道も整備されていて、巨大建築物だとか図書館まであったらしいからね。

どちらかと言えば古代文明は近代に近いと言えるかも。


緑川:やっぱり自然の摂理に反して弱者がつけ上がったからでしょうかね。


千田:まあ長所と短所は表裏一体で中世にも良い部分はあったと言えるけれど、結局宗教の時代も権力争いに明け暮れてしまい、勢いは衰えるね。


緑川:人間の性ですね。今も宗教が原因の戦争や紛争が絶えませんから。


千田:良いこと言うね。結局どんなに美辞麗句を並び立てようが、人間の本質は変わらないんだよ。

ニーチェの話に戻るけど、「やっぱり、強い者は美しいだろ?」ってこと。

エリートはカッコいいし、お金持ちは強い。強者は限りなく神に近い存在。それを認めて正々堂々と健全に強者を目指そうというのがニーチェの主張。

「学歴があるからと言って幸せとは限らない」「お金があるからと言って幸せになれるとは限らない」っていうのは、ニーチェに言わせれば負け犬の遠吠え。高学歴やスレンダー美人は神に近く、低学歴やチビブスは神から最も遠いというのが本来の自然の姿。

イソップ物語の「酸っぱい葡萄」に登場する負け惜しみを言うキツネと同じ。


緑川:確かにその点においても人間は変わりませんね。時代が変わっても強者は強者、弱者は弱者ですね(笑)


千田ニーチェは神を捨てて人生のベクトルが強者に向かう人々のことを「超人」と呼んだ。それに対して神にすがって人生のベクトルが弱者に向かう人々のことを「末人」と呼んだ。


緑川:あ、それもこれまでに何度も教えてもらいましたから私もちゃんと憶えていますよ!それにしてもネーミングのセンスが千田さん級に卓越していますね(笑)


千田:確かに他人事とは思えない(笑)

でもまあ、せっかく奇跡的に生まれたんだから超人を目指したいよね。自分の得意分野で昨日の自分よりも成長するために努力を継続できる人、既成概念や多数決に屈しないで新しい独自の道を拓く人が超人。のんべんだらりと多数決に流されて、ただ死なないために生きているだけの生きる屍は末人。


緑川:超人はテーマパーク嫌いになるということですね。


千田:まぁたまにはテーマパークも悪くないけど、何事も淫するのはいけないと思う。

娯楽に淫するのはむしろ末人に近く、超人の生き様とは対極だね。


緑川:では、ほどほどに、ということで(笑)



テーマパークは、ほどほどに。



◆合わせて読みたい千田本




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◆千田琢哉(せんだ・たくや) プロフィール

愛知県生まれ。岐阜県各務原市育ち。文筆家。
東北大学教育学部教育学科卒。
日系損害保険会社本部、大手経営コンサルティング会社勤務を経て独立。
コンサルティング会社では多くの業種業界におけるプロジェクトリーダーとして戦略策定からその実行支援に至るまで陣頭指揮を執る。
のべ3,300人のエグゼクティブと10,000人を超えるビジネスパーソンたちとの対話によって得た事実とそこで培った知恵を活かし、“タブーへの挑戦で、次代を創る”を自らのミッションとして執筆活動を行っている。
現在までの著書累計は340万部を超える(2021年6月現在)。


◆緑川夕子(みどりかわ・ゆうこ)  プロフィール

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